" LIGHT! RIGHT! BRIGHT! "
教育,研究,プライベートにおいて,上のような3つの Spirits をいつも忘れないようにしたいと思っています.
軽快な フットワークで,正しい 方向を目指して,明るさ を忘れずに進んでいきたいものです.^_^
このWebページは,関西大学における村田研究室の公開を目的として開設しました.その中には,担当している講義の
講義ノートの公開も含まれています.
講義ノートの公開については,以下に示す Massachusetts Institute of Technology の
OpenCourseWare に刺激を受けました.
毎日新聞の下記のページに
MIT の次のような方針が紹介されています.
2001-04-05
■米マサチューセッツ工科大学、講義資料をネットで無料公開へ
米国有数の大学であるマサチューセッツ工科大学(MIT)は4日、今後10年間で、ほぼ全ての講義資料をインターネットで無料公開するプロジェクト「MITオープンコースウェア」を発表した。ウエブサイト上で、講義ノートや科目の概要、推薦図書、宿題などの資料を公開する。今後10年間で、建築や機械工学、人文科学、芸術、社会科学、経営学、自然科学など、全教育課程におよぶ2000科目以上の資料を公開していく。
MITは今後2年間、大規模な運用試験を実施する予定。まず、プロジェクトの実現に必要なソフトウエアやサービス、学生や教員の利用状況をモニターして評価するプロトコルを開発する。運用試験が終了する2年後には、500科目以上の資料をウェブサイトで公開する予定。
このプロジェクトにより、世界中の教育機関が教育課程の参考資料あるいは教材として、MITの講義資料を直接利用できるようになる。高度な教育システムを急速に普及したい発展途上国にとって、特に役立つものとなる。またMITは、このプロジェクトのインフラが似たようなシステムを開発する教育機関のモデルにもなりうるとしている。
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講義ノートの公開に関しては,授業料を払っている受講者と情報提供者である教授者の権益を侵害するのではないか,
という議論が考えられます.当然,MITでもその議論があったことは
INTERNET Watch に取り上げられている
記事の中で
次のように示されています(下線は,本Webページ作成者).
2001-04-05
米MIT、10年をかけてすべての授業をインターネットで無料公開
米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)は4日、今後10年間かけてほとんどすべての授業をインターネットで無料公開するプロジェクト「MIT OpenCourseWare」を明らかにした。公開されるものの中には講義録、参考文献、宿題や試験問題などが含まれる。また、現在一部の授業の動画が公開されていることから、こうしたものが含まれる可能性もある。MITでは建築、工学、科学、人文科学、芸術、社会科学、ビジネスなどの分野で2,000以上の講義が行なわれており、これらがすべて無料で公開されることになる。
MITの総長Charles M.Vest氏は「OpenCourseWareは、ウェブの高等教育での利用方法を変化させるものだ。すべての人が利用できるこのコンテンツは、それぞれの人が自分の必要を満たすために利用できる無料の資源である。われわれはこれを世界中の教育を支援し、教授プロセスや学習プロセスそのものを革新するための鍵となる教材であると考えている」とコメントした。
また、MIT教授会の座長を務めるSteven Lerman教授は、このプロジェクトが熱狂的な賛同を得ると同時に、講義内容を有料で提供することから得られる富を放棄する必要はないという考え方との間で議論が分かれたことを告白した。しかしながら「われわれはMITとアメリカの高等教育の伝統、つまり、教育内容をオープンに公開することと、教育方法の革新を行なう、といった物の考え方の上に立った上で、インターネットのすさまじいまでの力を生かさなければならないと考えた」とこの決断の背景にある考え方を説明した。
プロジェクトはまず2年間にわたるパイロットプログラムを持って始まる。この期間に大規模なプロジェクトを成功させるために必要なソフトウェアとサービスの研究を進めると同時に、MITの教授や学生がどのようにこの教育資源を利用するのかをモニターする。このパイロットプログラムが終了する2年の後には約500以上の講義内容が公開されるものと予測される。
OpenCourseWareが世界に及ぼすさまざまなメリットの中には、高等教育を充実させようと考えている発展途上国のカリキュラム開発に役立つといったことのほかに、独学で学ぼうとしている人々の助けになることや、このプロジェクトの過程で開発されるインフラが他の教育機関に与える影響もあると考えられる。
MITではこのプロジェクトが1960年代に行なわれたカリキュラム改革を想起させるとしている。当時MITの工学部の教授たちは、工学部のカリキュラムの内容に科学、数学、コンピュータを導入し数々の新しい教科書を書いた。彼らの学生たちが成長し国中の大学の教授となったとき、彼らはMITで学んだ講義録を持ち出し、この新しい試みを工学教育に生かし始めたのだ。MITのOpenCourseWareプロジェクトは、この1960年代の革命をインターネット時代に持ちこもうとしているのだ。
カリフォルニア大学やスタンフォード大学など講義内容や教材を有料で提供している大学は数多くある。また慶応大学の「SOI」のように一部の授業を無料で公開しているところも数多くあるが、無料ですべての講義内容を公開するという試みを行なうのは世界でもMITが初めてである。このプロジェクトの発想は、OpenCourseWareの名前の付け方からも分かるようにプログラミングの世界で一般的なオープンソースの考え方と似通っており、オープンソースの発展に多大な貢献をしてきたMITの伝統がここに生かされているといえるのかもしれない。
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これは,出版業界にどのような影響を与えるのでしょうか.大学出版協会のWeb大学出版50号には次のような記事が掲載されています.
デジタル出版最前線[3]
オンライン授業がフリーになる
■ 大学教員が原稿を書く場合、学校の自室で備品のパソコンを使っている人が多いのではないだろうか。特に教科書の場合は、執筆に先立つ何年間の授業での成果、つまり講義ノートをもとにすることが多い。教員は教育することで大学から給料をもらっており、普通の感覚からいえば法人著作である。一方、出版社は授業に則した教科書執筆を依頼し、履修学生数を基礎票に安定的な出版をめざしてきた。
■ おそらく予備校は教員の執筆に何らかの制限があるだろうし、教員の印税や講演収入を管理しているビジネススクール的な大学も例外的にはある。が、通常、大学教員が教科書を執筆し、その本の著作権者になることは教員の自由であり、日本でも欧米でも問題になることはない。教科書出版社も自由に出版活動を行ってきた。
■ 一方、講義の著作権は誰のものか。教科書にすれば教員のもの。しかし、教員が所属する学校以外で講義を受けもつ場合、つまり非常勤講師となる場合には大学当局の許可が必要なことも日米共通である。つまり講義は大学の権利下にある。
■ では、バーチャル大学における教科書の著作権は教員にあるのか。そもそもオンライン授業のコンテンツは、講義なのか教科書なのか。これについて本誌48号に「講義と教科書と教材が、オンライン上ではすべてが融合した形態になり、そのどれとも特定できなくなっている」 (48号「バーチャル・ユニバーシティと教科書」吉田 文) という指摘がある。とすれば、オンライン授業の著作権問題はウェブがもたらした新たな問題といえる。
■ これに関して、今春、教科書出版社にとって驚くような発表があった。マサチューセッツ工科大学は今後10年間で、ほぼすべての講義内容をインターネットで無料公開するという。MIT Open Course Ware(OCW)と名付けられたこのプロジェクトは今年秋にスタートし、最初の2年半でウェブを利用するためのソフトウェア開発と500以上の講義内容を準備する。最終的には多岐にわたる分野で2000コースの開設をめざすという。利用対象は当然、MITのみならず世界中の学生や教育機関である。ただちにアメリカ国内を始めワールドワイドで反響があった。
■ 単位認定も教員との交流もないOCWはバーチャル大学ではない。MITで学び卒業証書がほしい者は、今後とも大学の門をくぐることになる。自分たちの講義に対する自信とともに、すべてを公開することで、MITで学ぶ魅力は増すと確信しているのである。学位授与機関としての権威を保つことで、大学ビジネスは不変である。
■ 一方、紙の教科書出版社が打撃を受けることは間違いない。MITの教授の1人は香港で過ごした少年時代に、父親からもらったMITの教科書にインスパイアされた体験を持っている。本の力を知っている彼は、ウェブの時代にふさわしい方法で、自らの体験を生かそうとしているのである。
■ MITの教員はOCWの著作権をどう考えているのだろうか。事実、教授会では熱狂的な賛同とともに、講義内容を有料で提供することから得られる富を手放すことはない、という反論もあったという。その富を手放すのは大学当局なのか教員個人なのか。さらにいえば出版社なのか。どのような議論があったのかはうかがい知れないが、コンピュータプログラムのオープンソース化に対し先進的な貢献をしてきたMITの結論は、フリーと出たのである。
■ この決断は「一石を投じる」なんてレベルではない。まさに歴史的な大津波となって高等教育の壁を越え、出版社に押し寄せてくるだろう。
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MITの試みは実験的なものであり,教育界や出版界にどのようなインパクトをもたらすのかはまだ不透明です.
しかし,世界的な知識の共有がどのように実現されていくかには非常に興味があります.このような
教育コンテンツの公開には受講者の講義離れを加速させてしまうのではないか,という危惧もありますが,
参考文献[1]にも指摘されているように,「教育コンテンツを提供することが教育そのものと
取って代わることはない」ことを覚えておきたいものです.MIT のCharles M.Vest学長は,
2001年4月4日に MIT の Press Conference で次のように語っておられます.
"Let me be clear: We are not providing an MIT education on the Web. We are providing our core materials that are the infrastructure that undergirds an MIT education. Real education requires interaction, ...
Am I worried that the OpenCourseWare project will hurt MIT's enrollment? No. In fact, I am absolutely confident that providing this worldwide window onto an MIT education, showing what we teach, may be a very good thing for attracting prospective students."
「Web上に公開されるのはMITの教育ではないことを確認しておきたい.提供されるのは,教育の基盤としての資料であり,
それは教育を補強するものである.真の教育は,相互作用を必要としているのだ.
OpenCourseWareプロジェクトが実現することで入学者が減少するなどという心配は一切していない.
MITの教育内容を世界に向けて広く公開することが,将来性のある学生をMITに惹き付けることに
つながると強く確信している.」
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これは教授者と受講者の双方に高い意識をもつよう促すものです.
願わくば,本ページを閲覧される方々には,ネット上で講義を概観することにより
実際にどのような講義が行われているかに関心を持っていただければうれしく思います.
大学での講義は主に「知識の継承」を目的としていますが,
知識(Knowledge)だけでは,知恵(Wisdom)は生まれてきません.知識を知恵へと変換するには,
上述されている相互作用(Interaction)が必要です.講義での Interaction,研究室での Interaction が,
「新たな知の模索」に不可欠であると信じています.知識を知恵にすることにより,
「知識の発展」へとつなげていくことができるのです.
本ページが,皆さんの視線を「知識の継承」から「知識の発展」を目的とする研究へと高め,
皆さんの焦点を「つかみどころのない集合体としての大学」から「知を探求する現場としての研究室」
へと絞っていただくきっかけとなれば幸いです.
MIT が率先しているこのアイデアをこのWebページにおいても
反映させることができればと思います.気づかれた点があれば,遠慮なくご指摘ください.
2002年1月22日
Rev. 2002年1月24日
Rev. 2002年1月25日
村田 忠彦
参考文献
[1] 角田 和巳(芝浦工業大学工学部),
「MIT OCWプロジェクトについて」,
大学教育と情報,私立大学情報教育協会,Vo.10, No.2.
murata@res.kutc.kansai-u.ac.jp
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