英語能力をあげるには

本日の「コンピュータの物理」では,先週,講義を休講にした理由である,IEEE CEC2015について,単なる学会発表ではなく,主催者としてどのようなことを行ったのかを受講者の皆さんに説明しました.講義終了後,国際会議に関連して2つの質問をしてくれた受講者の方がいたので,その質問に対してお答えしたいと思います.

Q1:国際会議を運営するにあたっては,当然,英語を話す必要があると思うのですが,その英語力はどのように身につけられたんですか?

A1:自分の英語力がいかほどのものかをよくわかっているわけではありませんが,関西弁と京都弁のあいさつの違いを,笑いをとりながら説明をすることのできる程度です.私は,学生時代に,いわゆる留学というのを経験したことはなく,学校教育の英語を基礎として英語の勉強をしてきました.特に英語は好きでも嫌いでもなかったです.振り返ってみますと,自分の英語力が鍛えられたのは,大学院時代であったと思います.

大学院では,まず,最先端の研究を理解するために,英語論文を読むことが必要です.そして,自分の研究成果を世界的に発表するには,英語で論文を執筆することが必要です.もちろんはじめから英語で論文が書ける訳ではありません.

4年生で取り組んだ卒業研究の結果を指導してくれた先生が評価してくださり,先生の指導のもとで,シミュレーション結果を出しただけではありましたが,私と連名での英語の論文を書いてくださいました.IEEE CISが初めて開催したWorld Congress on Computational Intelligene 1994 (WCCI94)の中の第1回Congress on Evolutionary Computation (CEC94)に向けた研究論文でした.自分が取り組んだ内容が英語化されて,完成したことにとても興奮したことを覚えています(その頃は,査読のシステムもよく理解しておらず,査読で通るかどうかなんて心配していませんでした).そのときは,20年後にProgram Chairとしてその国際会議を主催する立場になるとはとても思っていませんでした.

研究室から出される英語論文については,英語の文法のミスのチェックをするために,研究室の学生たちは,自分の研究であるかどうかに関わりなく,校正作業を行っていました.その確認作業の中で,英語論文の書き方についての作法を先生から直々に学ぶ機会をもつことができました.先生の書く英語は文法的な間違いはないものでしたが,コンマやピリオドが抜けていたり,図表の番号が間違っていないかどうかを確認することなど,論文を注意深く読むように指導されました.先生が自分で行われたチェックの結果も見せてくださり,自分の読み込み方が甘いことをいつも痛感させられる機会でした.

初めて自分で英語論文を書いたのは,1995年のFUZZ-IEEEの国際会議に向けて,M1の夏の終わりに執筆した原稿でした.自分の書いた原稿に対して,先生が真っ赤な添削を返してくださり,自分の英語の至らなさをつくづく感じる機会になりました.添削には,赤い血を吹き出している先生の似顔絵が書かれており,「自分の血が逆流してシャレにならないほどの原稿でした」というコメントが添えられていました.まさにシャレにならないほどの原稿だったのですが,厳しい中でもユーモアをもって,丁寧に添削をしてくださったことを感謝しています.

上記のようなマンツーマンの指導を受けながら,論文を書いては発表することを繰り返した生活を大学院生時代には送っていました.自分の業績を振り返ってみますと,M1の1994年に2本,M2の1995年に6本,D1の1996年に9本,勤務初年度の1997年に9本,勤務2年目の1998年に17本の国際会議論文を書いています.自分だけでなく共著の先生が書かれたものもありますが,基本的にシミュレーションは担当していましたので,まさに寝る暇もなく仕事をしていたように覚えています.

上記のような中でも,出張費を自分で稼がなければいけない研究室(当時は貧乏な研究室でした(泣))でしたので,学会出張の旅費を稼ぐために,アルバイトも行っていました.自分で稼いだお金でいく学会出張だったので,学会出張中の旅程については,出張者本人に任されていました.当時は,貧乏学生だったので,安全を買うために,1万円以上のホテルに泊まるように,という指示は守りながらも,定価で1万円で,当日割引で,空き部屋のあるホテルに安く泊まることができるよう,空港から電話をかける,ということを行っていました.到着した空港で必死に情報を集めながら,ホテルを探し,今はあまりみかけなくなった,到着ロビーから無料でかけられるホテルに電話をして,値段交渉しながら,ホテルを見つけるということを行っていました.

1990年代の前半は,電子メールが使い始められたばかりのころで,まだインターネット上に情報が整備されている時代ではありませんでしたので,空港に到着してから,宿と交通手段を自力で確保する,ということを年に4,5回行っていました.そのような経験が,サバイバル能力と英語の地力をつけさせることになったとも思います.

英語の能力をあげるにはどうしたらいいですか?という質問への答えですが,否応なく英語を使う環境に自分を送り込む,ということであると思います.なかなか英語を使う環境が見つからない,という意見もあると思いますが,研究面でそうするためには,そのような研究室(ゼミ)を選ぶ,というのがその答えになると思います.学生の皆さんに英語を使うように励ますと,「自分には・・・」と尻込みしてしまう気持ちはわかります.ただ,英語はコミュニケーションのツールなので,自分に伝えるべきものがあり,相手が自分の知りたいものを持っていることを知っていて,それをなんとかして知りたい,という願いを持っていれば,食らいついてでも,英語を話して,コミュニケーションを図るべきです.そういう貪欲さをもつことができれば,英語の能力はあがっていくのではないでしょうか.

懇親会などの機会に自分から話しかけること,もよい方法だと思います.以下のベルリッツのサイトでは,自分から質問してみよう,ということが勧められていました.質問すると自分で会話のペースを付けられるので,話題の発散を避けられるという利点もあります.

http://www.berlitz-blog.com/ordinary-conversation

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ちなみに,よく言われることですが,母国語以外の言語を学ぶと,言葉の意味への感度が高くなるので,母国語の能力もあがると思います.英語に限らず,是非外国語を学ぶことをお勧めします.

さて,受講者の方からの2番目の質問は,次のようなものでした.

Q2:2013年の開催地獲得に向けたプレゼンテーションで,2013年の開催はメキシコに譲りながらも,2015年の獲得ができたのはなぜですか?という質問でした.この質問に対する回答は明日に記載いたします.

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