招致プレゼンテーション

昨晩からニュースで,2016年のサミット開催地として,伊勢志摩が選定されたという報道がなされています.その立候補が今年1月になってからで,既に7つの候補地が名乗り出た後の立候補だったのに,選定された理由はなにか,というニュースも流れるようになっています.また,W杯の開催地選定におけるFIFA上層部の問題についての報道もなされています.候補地の決定は,なにか合理的な理由があるというよりも,最終的に,人間が政治的に決定するものであるため,なにかしらしこりのようなものが残ってしまうのが一般的であると思います.

昨日の「コンピュータの物理」で,CEC2015の招致に関係する話をしましたが,一番目の「会議を運営するための英語能力をどうやって身につけたか」という質問に対しては,昨日の投稿で回答しました.2番目の質問は「Q2:2013年の開催地獲得に向けたプレゼンテーションで,2013年の開催はメキシコに譲りながらも,2015年の獲得ができたのはなぜですか?」という質問でした.今日はその質問にお答えしたいと思います.

Q2:2013年の開催地獲得に向けたプレゼンテーションで,2013年の開催はメキシコに譲りながらも,2015年の獲得ができたのはなぜですか?

A2:今回,2010年のIEEE CISの理事会で,2013年のCEC開催地招致プレゼンテーションを行ってくださったのは,Genral Chairを務めて下さった東北大学の大林茂先生でした.候補として残っていたメキシコと日本のうち,プレゼンテーションの後,選定されたのはメキシコだったのですが,それは2013年にCISが行うアジア開催の会議が多いから,ということでした.

それで,通常3年ほど前に決定する開催地を,前倒しで日本開催に決定されたのは,一にも二にも,大林先生のプレゼンテーションに非の打ち所がなかったからでした.ただ,プレゼンテーションは,言葉を朗々と話せばよい,というものではなく,しっかりとした根拠に基づいてこそ,そのプレゼンテーションに説得力が増します.今回は次のようなポイントに力を入れて準備をしました.

1.日本で開催する意義
・日本製の新幹線やジェット機のデザインに進化計算が使われていること
・2010年4月に日本で進化計算学会が旗揚げされたこと
・1996年に名古屋でCISの国際会議が開催されて以来,日本で開催されていないこと

2.会議を運営可能なスタッフ
・EMO2007という進化計算の多目的最適化に関する国際会議を開催した経験のある国内スタッフがいること
・インターナショナルなプログラム委員のサポートがあること

3.設備
・会議を開催可能な設備が十分整っていること
・魅力的な観光地が多数あること

実際,上記のようなポイントを整理するにあたり,当時,IEEE CIS技術委員会担当副会長として,CISの内情に通じておられた大阪府立大学の石渕久生先生から数多くの有益な情報やヒントを得られていたことも重要でした.会議は極論すると,世界中のどこで集まるかよりも,討議される内容が重視されるものです.会議の準備と運営を安心して任せられる組織体制が大切であることを,しっかり教えてくださったことは大変重要なポイントでした.

結果として,当初の計画より2年後の2015年の開催地として選定されたわけですが,2011年の震災のことを考えますと,震災2年後の2013年よりも,2015年に開催されたことで,世界中の参加者にとっては,安心する要素が強くなったのではないかと思います.2010年12月に行った上記のプレゼンテーションでは当然知る由もありませんでしたが,やはり震災後の東北を知っていただくためにも,東北での開催は十分意義があったのではないかと思います.

今回のことを通して,招致活動はやみくもに行うものではなく,当たり前の話ですが,しっかりと準備をした上で行うべきものであることがわかります.残念ながら日本では,このような会議運営に関する評価がまだまだ低いですが,運営に携わった中で,国内外の研究者とのネットワークを強めることができたのは,何よりも財産であると思います.また,次をすぐにやりたい,と言えるほど楽な仕事ではありませんが,得られるものは十分にあったと思います.そして,次は,2018年のIEEE System, Man, and Cybernetics国際会議を宮崎で開く際に,Program Chairとして仕事をさせていただくことになっています.これはIEEE CISとは別のソサエティですが,IEEE内の別のソサエティのフラッグシップ会議の重役を務めさせていただくのは,光栄であると同時に身が引き締まる思いです.まだまだ先の話,と思っているとあっという間にそのときが来てしまいますので,CECでの会議運営をしっかり復習して,次に臨むようにしたいと思います.

最後に,招致活動を成功させるにはどうしたらよいか?という質問に対する答えですが,綿密な準備をし,その選択が間違いではないことを意思決定者に得心させることです.当たり前すぎる答えではありますが,正面突破が基本であると思います.

visual_sic_01会議会場に選定された仙台国際センター

 

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