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ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、情報アクセシビリティの中でもインターネット技術を用いて制作されたコンテンツで、利用者がウェブブラウザなどを用いてアクセスするあらゆる情報やサービスに対するアクセシビリティを指す。インターネットで提供されているウェブサイト(WWW)は、その代表的な対象である。

インターネット技術の標準化と推進を目的とする国際的な学術団体、W3Cが1999年に勧告したウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0では、「ある障害をもっている人がその内容を利用することができた時、その内容はアクセシブルだと言えます」と述べられている。
つまりウェブアクセシビリティとは、高齢者や障がい者など心身の機能に制約のある人を含め、誰に対しても提供されている情報がきちんと伝わり、誰もが提供されている機能やサービスを問題なく利用できることを意味する。このウェブアクセシビリティを実現するには、コンテンツ提供者が情報アクセシビリティを理解し、確保する作業をしなければいけない。

ウェブアクセシビリティのJIS規格であるJIS X 8341-1:2010では、「様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品,サービス,環境又は施設(のインタラクティブシステム)のユーザビリティ」と定義されている。

ウェブアクセシビリティ確保の必要性

総務省が情報通信サービスの利用状況や、情報通信機器の保有状況等について調査した「平成23年通信利用動向調査[1]」の結果によると、平成23年の1年間にインターネットを利用したことのある人は推計で9,610 万人と、前年に比べ148 万人増加し、人口普及率は79.1%となった。
またインターネットの利用者が増えるとともに、利用手段は多様化している。
従来、携帯電話は携帯電話向けに作られたウェブサイトを閲覧することが一般的だったものが、パソコン向けに作成されたウェブサイトも閲覧可能になり、スマートフォンの普及も進んだことによって、パソコン用だったウェブサイトがモバイル端末で閲覧されることが珍しくなくなった。スマートフォンの音声読み上げ機能でウェブサイトを読み上げ、利用している利用者もいる。

前述の通り、社会の急速なIT化によってウェブの利用は日常生活にとって必要不可欠となり、情報弱者と言われてきた障がい者や高齢者にとっては、情報の入手だけではなく物品の購入、幅広い社会参加をより可能とする新しいツールとなった。しかし、ウェブの利用が拡大し重要性が高まる一方で、障がい者や高齢者にとっては、未だ配慮されていないウェブサイトが多いのが現状である。
特に問題が多く生じてしまうのは全盲や弱視といった視覚障がい者であり、文字で書かれたウェブサイトを音声読み上げソフトなどの補助ソフトを使用し内容を読んでいるために、画像で表現されたところは内容の読み上げが行えず、alt属性などに情報を付加するなどの配慮を必要とする。大事な情報を大きな画像で表現することは、利用者の目に留まりやすい表現であるが、一方では、画像で表現されていることによりその情報を容易に得ることが難しくなる利用者もいる。このほかにも、耳の聞こえにくい(聞こえない)利用者、手が動かしづらい(動かない)ためにマウスやキーボードが扱えない利用者など、配慮すべき利用者は多岐にわたる。
ウェブサイトで提供されている情報が、利用する環境や身体的な特徴などにより取得できない状態は早急な改善が必要であり、コンテンツ提供者が高齢者や障がい者などの利用にも配慮したウェブサイトを製作することが、最も重要な課題となっている。

中でも公共性の高い情報を提供している行政や公共機関のウェブサイトでは、障がいや年齢・アクセス環境の違いに関係なく、誰でも同じように情報を得られることが強く望まれる。
そのため、総務省みんなの公共サイト運用モデル改訂版(2010年度)では、「国及び地方公共団体等の公的機関は、法、規格、指針等に基づき、ウェブアクセシビリティに対応してホームページ等を提供することが求められています」と明記され、2012年度中にウェブアクセシビリティ方針の策定・公開するよう促されている。

ウェブアクセシビリティのJIS規格 JIS X 8341-3:2010

2004年6月に出された JIS X 8341-3(高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ)は、その後のウェブアクセシビリティを取り巻く状況の変化に対応するために、2010年8月20日に改正された。

このJIS X 8341-3:2010は、世界的な事実上の標準であるW3CWCAG 2.0との一致が図られたという大きな特徴があり、WCAG 2.0と同じ原則・ガイドライン・達成基準・アクセシビリティ達成等級の分類を持っている。

また改正により、ウェブアクセシビリティ方針[2]を策定し、文書化することが求められるようになった。文書化したウェブアクセシビリティ方針は、ホームページ等で公開することが推奨されている。
総務省 みんなの公共サイト運用モデル(2010年度改定版)では、各公的機関がウェブアクセシビリティ方針を策定・公開する期限として、2012年度末までとの目安が示された。

3段階のレベルと61の対応項目

2004年版では抽象的な表現だったいくつかの項目が具体的な数値を示されたことで、ツールによるチェックができる部分が増え、「~しなければならない」「~が望ましい」だった達成基準が、世界基準と同じ等級A,等級AA,等級AAAと定められた。

最も優先すべき配慮が等級Aとなっており、その上位のレベルとして等級AA、さらに上位のレベルとして等級AAAがある。この3段階の達成等級には、それぞれの等級において対応すべき項目である達成基準が合計で61項目ある。(等級Aの達成基準は25、等級AAの達成基準は13、等級AAAの達成基準は23ある)

この達成等級により、改正後の規格は対応が出来ているかを判断する基準が明確となり、各団体のホームページのアクセシビリティが目標を達成しているかどうか(JIS X 8341-3の要件を満たしているかどうか)を外部から評価し易くなった。

公的機関に求められる目標レベルは?

公的機関は"等級AAに準拠"することが推奨されている。(ウェブコンテンツによっては等級AAAを完全に満たすことができない場合があるため、目標として"等級AAAに準拠"を選択することは推奨されていない)
達成等級を満たすには、選択した等級に該当する達成基準をすべて採用することが基本であり、これを準拠と言う。ただし、ホームページの目的やコンテンツの諸条件により、現時点では対応ができない達成基準がある場合、例外事項として、特定の達成基準を目標から除外することが可能である。(一部の達成基準を目標から除外する場合は、準拠ではなく一部準拠と表記)

総務省 みんなの公共サイト運用モデル(2010年度改定版)では、各公的機関が試験を実施し結果を公開する期限として、2013年度末までに等級Aに準拠、2014年度末までに等級AAに準拠との目安が示されている。

※JIS X 8341-3:2010の達成基準をきちんと読み取ることは難しく、Understanding WCAG 2.0(外部リンク・別窓表示)や、その日本語訳であるWCAG 2.0 解説書(外部リンク・別窓表示)を併せて読む必要があると思われる。

関連サイト (リンク先は別窓表示)
脚注

[1]^総務省 平成24年5月30日報道資料「平成23年通信利用動向調査の結果」(外部リンク・別窓表示)

[2]^ウェブアクセシビリティ方針とは、JIS X 8341-3:2010に基づき、いつまでに、どの程度のアクセシビリティ対応を目標とするかを文書化したもの(総務省「みんなの公共サイト運用モデル」2010年度改定版より)